今回のアメリカ行きは通っていた学校を訪問する旅でもありました。

レンタカーを借りていたので、ちょっと大学の周りだけではなく近くの町を走ってみるかと思い車を走らせました。

走っていると、どこかで見たことがある建物が目に飛び込んできました。

「このお店、来たことがあるな」と思いつつも、ここで観光などした記憶はない。デジャブかな、と思った瞬間、フラッシュバックのようにあの日の、あの24時間がよみがえってきたのです。

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5ドルと飴玉を渡された大学のオリエンテーションプログラム

私が通っていたバーモント州にあるSchool for International Trainingは、日本でいう海外青年協力隊のアメリカ版であるPeace Corpsの訓練校であった大学です。NPOであるWorld Learningが運営しるためか、とにかく実践、実践、実践。

大学に入ったら最初の2週間はオリエンテーションです。初めて会うクラスメートたち。ドキドキです。

ある日、「明日の朝、この教室に何も持たずに集まって」といわれました。確か午前7時とか、とにかく早い時間だったのを覚えています。

眠気まなこで、教室に行くと、先生が「外に用意している車に乗ってくれ」と言いました。

「オリエンテーション中だから、クラスメイトと仲良くなるためのピクニックかな」と思いました。

車が動き出します。

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車が動き出して5分ほど経った頃でしょうか。飴玉と5ドルを渡されました。「遠足のおやつは300円まで」ではないですが、遠足のためにお金とお菓子まで配られたようです。お金をもらえるなんてラッキーじゃないですか!?

「なぜ、それを渡されたのか」について先生に質問する生徒はいませんでした。だって、みんな遠足だって信じていたから。

24時間サバイブせよ!!

どれくらいの時間がたったのでしょうか。急に車が止まります。

「はーい、ここで次に名前が呼ばれる3人は下りてね」

最初に車が止まったこの町で、最初に呼ばれた名前の中に私がいました。

とりあえず降りたら、「じゃぁ、24時間後にここに迎えにくるね」

「はいーーーーー!?」(心の声)


と言い放つと、アクセル全開で車は去っていきました。

オリエンテーション中です。まだここで落とされた3人は「初めまして」状態。それに3人ともバーモント州の人間ではありません。(というか私を含め2人は留学生だし)

時計を見ると、まだ午前9時前。ここから24時間、まだ知らない者同士の3人組が過ごすわけです。太陽が出ている時間の過ごし方はもちろん、食事と寝るところも考えねばいけません。

みんな5ドルを渡されているので、合計15ドル。これをどう使うかも考えねばいけません。(さすがに飴は自由に食べれるようにしたはず)

なんせ、最初に落とされたメンバーです。

他の学生たちは、バスの中で、大騒ぎに違いない。

(どうやって騒いで、どうやって返事をしてもらっているのかは知る由もない)

・・・とにかく、時間をどうつぶす・・・という話になった時、女子ですもの、まだ暑い9月ですもの(アメリカの新学期)。

シャワーを浴びられるかどうかの話になりました。こんなにむしゃくしゃしている時こそ、「体をすっきりさせないで眠ると気持ちが晴れないわ!」と他の2人は議論しています。

私は食べ物を心配していたがシャワーはランク外でした。あ、いけない、女子たるものそのプライオリティはまずい。シャワーよ、シャワー。

でもその前に「眠る場所」の確保をせねばではないか!?

「ここいいじゃない!」とアメリカ人のクラスメートが言いました!

「わぁ、いいわね」とベネズエラ出身のクラスメートが絶叫しました。

「これって川じゃん」と日本人の私が言いました。

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まず、ここで泳いでみました。

そろそろ、まじめに生きる方法を考えねばということになり、行った先は

シャワーというより沐浴が終わり、そろそろ、これからどう生きるかを考えねばいけなくなりました。

とりあえず町に向かって歩いていきます。

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町にも来たのがないので、興味深くうろうろ。

こうやって時間はつぶれていきます。

ただ暗くなる前に、寝床を探さねばいけません。

観光案内もなさそうだし、あったとしても一人5ドルだからホテルとかにも泊まれないし。

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その時にアメリカ人のクラスメートが叫んだ。

「図書館に行きましょう!!!」

「は、図書館って本を読むところじゃん」と私は思った。

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図書館で街についての本を読んだり、図書館員の人と話をしていたら、ここは農業が盛んで今、ちょうど農作業のシーズンであることが分かった。

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図書館を後にした私たちは、農作業をしている人を探し始めた。

そして見つけた人に聞いた「農作業を手伝いますので、家の隅っこでもよいので寝床を下さい」

私たちは働いた。土まみれになりながら、野菜を収穫した。耕した。草を刈った。

その働きが認められたのか、家に呼んでくれた。そしてなんと、収穫した野菜を使ったパスタまでいただいた。(つまり朝から夜まで私たちは何も食べていなかった)

朝起きて、落とされた場所に戻る。

「本当に迎えは来るのだろうか」

不安もかすめたが、そこは大学のオリエンテーションですもの。迎えに来ましたよ。

私たちはまだ幸せな方で、泊まるところが見つからないとか悲惨なチームもあった。バーモントは夏といえども夜は冷える。24時間でしっかり風邪気味になったクラスメートもいた。

あの時に「図書館に行きましょう!!」と叫んだクラスメートがいたのが記憶に残る。

24時間サバイブするために必要な場所は、川と図書館なのだ。(そして農作業を手伝って宿をいただくこと)

「課題解決型図書館」というが、「24時間知らない土地に落とされたという超絶な課題に直面した人たちにとっても(他にこんな人がどこにいるかは謎だが)、図書館は課題を解決してくれる。

その町だった!

図書館に、手を合わせてしまいました。

このオリエンテーションにももちろん意味があり(ないといわれたら辛い)

  • 見ず知らず(オリエンテーションは始まったばかりなのでそんな感じ)の人たちとどうやってチームをつくるか
  • 3人でどのように意思決定をしたか。アイディアを出した人がいて、それをフォローした人がいるとしたら、フォローした人は納得してフォローしたのか。フォローすると決めた理由は
  • フォローした人がしたくなかったことだとしたら、その気持ちをどうコントロールするか
そんなことを考えながら、国際情勢学部の授業は始まっていくのでした。




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